TAIGA

ハッピーを共有するスノーボードで仲間の夢を叶える

<interviewee>大河
<date>2021/8/31

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サラリーマンとスノーボーダーを両立するLehmansのメンバーの1人、大河。彼は、これまでどのようにして生きたのか。そして、なぜLehmansを立ち上げるに至ったのか。その中核には「仲間への愛」があった。

◆スノーボードの常識を変えたカナダ

大河は、小学生の頃に幼馴染と家族ぐるみで行ったスキー旅行でスノーボードと出会った。そこからスノーボードの魅力に取り憑かれ、年に数回はゲレンデに足を運んだが、スノーボードに人生を捧げようと思うまでにのめり込んだのは大学生のときだった。

 

大学生になると、運転免許を取得して、柔軟にスケジュールが組めるようになり、アルバイトで稼いだお金でいつでもスノーボードにいけるようになった。頻繁にスノーボードに通ううちに、現地で仲間が増えていった。これが今のLehmansになっている。

 

その仲間の内の1人であるKoheyは、大河と知り合った後、カナダのバンフへワーキングホリデーに行った。大河もKoheyとスノーボードをする目的でカナダへ飛んだが、このカナダで価値観を変える出来事を経験する。

 

「カナダで出会った日本人は、現地で旅行業を営む40歳くらいのおじさんでした。彼が、カナディアン・ロッキーをアルパインスタイルで登っていく様子はすごくイケてましたね。

カナダに滞在しているうちに、スノータウンに住む人ならではのライフスタイルを感じました。生活の中にスノーボードが自然に溶け込んでいたんです。決してスノーボードを中心にしようとするわけでもないが、毎朝起きたら歯を磨くのと同じようにスノーボードをしていました。

それまでスノーボードのために数時間かけて都内から山へ向かっていた自分からすると、仕事とバランスをとりながら生活を営むスタイルは衝撃的でしたね。」

 

日本とは違う自然のスケールの中で、スノーボードとともに生きる人の姿は、当時の大河にはダイナミックに映った。

Lehmans設立のきっかけとなった沼田移住

Lehmans立ち上げは、スノーボードを販売することが目的ではなかったという。これまで数十本のスノーボードに乗ってきた経験を活かし、自分たちが楽しむためのスノーボードを作ってしまおうという発想がきっかけだった。

 

「スノーボードを生活の一部にしてみたい」という思いを行動に移したのは、昨年11月のことだった。コロナウイルスの拡大によって当時勤めていたYahoo! JAPANもフルリモートワークを採用した結果、出社する機会はなくなり、数年前から会社の同僚とルームシェアをしていた家もちょうど契約満期を迎えた。

 

周辺に数多くのゲレンデが集まる群馬県沼田市に移住を決めた。朝7時からゲレンデに向かい、2時間ほどスノーボードに乗る。仕事を終えた、夜8時から12時までナイターに行く日々を過ごした。この経験が、価値観を変えるきっかけとなった。

 

毎日スノーボードをするうちに、ローカルのスノーボーダーと知り合い、今まで知らなかった日本のスノーボードブランドに出会った。

 

「群馬には自分でワックスを作っている人がいたり、信州の方には自分で板を削っている人たちがいたんです。」

 

こういった人々の存在を知ったとき、「自分もスノーボードを作ってみたい」という気持ちが芽生えた。スノーボードが自分の生活に溶け込みはじめ、自分でスノーボードを手掛けたいという思いは強くなっていた。

 

自分で直接工場へ問い合わせ、中国にスノーボードの委託製造を引き受ける工場を見つけた。この時は、自分が乗りたいボードを作りたいという一心だったが、ある時、「自分が最高だと思っているボードを、他のスノーボーダーたちにも乗ってもらえたら皆が幸せになれるのではないか」と思った。

 

D2Cで製造しているからこそ、本来であれば10万円以上するクオリティのスノーボードを、3分の1程度の価格帯で提供できる。手頃な価格で高品質なスノーボードを手に入れてもらい、その分浮いたお金でゲレンデに数多く足を運んでもらいたいと大河は言う。 

Lehmansの夢は「仲間の夢を叶えること」

Lehmansで得た収益は、Lehmansのメンバーの夢を叶えるための資金として投じるという。

 

「スノーボードを売ることで、買ってくれた人にハッピーを届けるだけでなく、その収益からLehmansメンバーにもハッピーを共有していく。さらにそのメンバーたちの活動によって、他の人たちにハッピーが広がっていけば、今の世界を超えた世界が創れると思うんですよね。」

 

なぜそう思ったのか、大河は理由をこう語る。

 

「自分が幸福のハブにいることが、何よりも最高にハッピーなことだと思うんですよ。そして何より、収益をメンバーに還元できるのは、自分がサラリーマンとして働いていて、生活のための収入源が確保できているからです。」

 

大河は、Yahoo! JAPANを退職後コーヒーの生豆をダイレクトトレードするためのプラットフォームを運営するベンチャー企業で韓国/台湾法人を立ち上げ、アジアのマーケットの責任者をしていた。ハッピーを共有するという発想は、サラリーマンでの仕事にも共通する。

 

「世界中のコーヒー生産者やロースターが抱える課題を解決しながら、コーヒーのマーケットを拡大していくというミッションがあります。

高級とされるスペシャリティコーヒーは、消費者の元に届くまでに多くの仲介業者が介入しています。消費者は高いお金を払って飲んでいるけれど、生産者は十分に還元されているわけではないため、世界中でコーヒー農園が減っていることは深刻な問題になっています。

ダイレクトトレードによってこの格差を減らすことで、生産者は多くの還元を受け、消費者はより手軽に高品質なコーヒーを味わうことができるようになります。」

 

そして、立ち上げ後、ビジネスが軌道にのり始めた今。新たな挑戦をすることを決意したようだ。


コーヒーのベンチャー企業の経営メンバーから離れ、2022年3月からはMercariへ入社しモノの再利用を世界中で促進する。
更なる飛躍と挑戦をサラリーマンとしてもし続けている。

サラリーマンの休日を豊かにデザインする

「サラリーマンの休日を豊かにデザインする」は、Lehmansのコンセプトだ。平日はサラリーマンとして働くLehmansのメンバーたちが、自らの手によって理想の休日をデザインし、それをサービスとして提供する。

 

サラリーマンは”遊び”に打ち込む時間が限られているからこそ、洗練された休日を過ごしてほしいといった想いが込められている。

 

「山が近くにあるローカルのスノーボーダーと違って、都会で働くサラリーマンは頑張っても週2日しかゲレンデに来ることができない。貴重な休日に時間をかけて山へ訪れるからこそ、1本1本を大切に滑って欲しいと思っています。」と大河は語る。

 

また、普段は都会で働くサラリーマンたちに少しでも癒しを感じてもらおうと、Lehmansで作るスノーボードは自然と調和できるような作り方にこだわっているという。バンブーやポプラのようなナチュラルな素材を使って、雪面をダイレクトに感じて自然と一体になりながらライディングができるような設計にしている。 

遊びの実験場でよりよいボードを

これまでは乗ってみたいボードがあっても購入する必要があったが、スノーボードを作ることができるようになった今、生産工場にサンプルを請求して好きなボードに乗ることができる。

 

「色々なスノーボードを試すことができる遊びの実験場のような環境になった以上は、最高のボードを追求して、多くのスノーボーダーに発信していきたいと思っています。」

 

今後は、スノーボードの試乗会も計画しているという。

 

「リフトに乗ってるときに、ボードに印刷されたQRコードを読み込んでみてください。Lehmansメンバーの1人にPlutoというレゲエミュージシャンがいるのですが、彼の音楽をゲレンデで聴けるよう、YouTubeにアクセスできる仕組みにしました。」

 

品質の磨き込みは去ることながら、仲間をフューチャーする遊び心もあるスノーボードに仕上がっているようだ。

 

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一問一答プロフィール

メインスタンス:+27° -9°

スタンス幅:51cm

使用バインディング:Flux XF

使用ブーツ:Burton Ion

ホームゲレンデ:ホワイトワールド尾瀬岩鞍

好きなロケーション:山のピークから見える水辺(湖だったり海だったり)

幸せな瞬間:面ツルパウダーにどっぷり浸かった瞬間

必殺技:直下降 

尊敬するスノーボーダー:吉野満彦

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さいごに

 

2021年7月にLehmans株式会社を立ち上げました。

 

登記は、群馬県沼田市になります。

雪山へのアクセスも抜群のこの立地から、Lehman Stick事業だけでなく

「休日を豊かにデザインする」ことを企業理念に様々な事業に取り組んでいこうと考えております。

 

Lehman Stick事業をLehmans株式会社の軸として皆さまと幸福な時間を共有しつつ
より多くの接点で、幸福を共有できるよう事業を広げていきたい所存です。

 

私は、沼田と湘南の2拠点生活者ですが、湘南でも皆様の遊び場を提供すべく事業も企画していますので
お楽しみにしていただけたらなと思っております。

 

もちろん、本業にも全力で取り組みつつです。

 

Lehmans株式会社は「休日を豊かにデザインする」

山田 大河

 

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[インタビュー・執筆:安井一輝]



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